労働保険とは
労働保険は、労災保険と雇用保険を総称する制度です。社会保険(健康保険・厚生年金保険・介護保険)が広範な社会的リスクに対応するのに対し、労働保険は労働に関連するリスクに特化した国の保険制度です。
加入義務
労働者を一人でも雇用する事業主は、原則として労働保険に加入することが法律で義務づけられています。これは以下の条件に関わらず適用されます。
・雇用形態(正社員、パート、アルバイトなど)
・会社の業種
・資本金の額
ただし、農林水産業の一部では例外があります。
労災保険
労災保険は以下のような場合に補償を行います。
・仕事中のけがや病気の治療
・仕事中のけがや病気のため働けない期間の補償
・仕事中のけがや病気が原因で身体に障害が残った場合の補償
・仕事中の事故で死亡した場合の遺族への補償
・通勤途中の災害への補償
適用対象
労災保険法の適用を受ける事業に使用される労働者は、船員保険の被保険者を除き、すべての者が対象となります。
保険料
・全額事業主負担
・保険率:事業の種類によって2.5/1000~88/1000(令和6年4月1日改定後)
雇用保険
雇用保険は以下のような目的で給付を行います。
・失業した場合の生活保障
・雇用継続が困難となった場合の支援
・労働者の生活及び雇用の安定
・再就職の促進
・育児休業給付
・雇用保険二事業
被保険者の種類
1.一般被保険者(65歳未満の労働者)
2.高年齢被保険者(65歳以上の労働者)
3.短期雇用特例被保険者(季節的に雇用される者等)
4.日雇労働被保険者(日々雇用される者、または30日以内の期間を定めて雇用される者)
適用事業所
1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ、31日以上引き続いて雇用される見込みのある労働者を1人以上雇用する事業所は、法人、個人を問わず、原則「雇用保険適用事業所」となります。
保険料の負担
期間 | 事業の種類 | 保険料率 | 事業主負担 | 労働者負担 |
---|---|---|---|---|
令和7年4月1日~ 令和8年3月31日 |
一般の事業 | 14.5/1,000 | 9/1,000 | 5.5/1,000 |
農林水産・清酒製造事業 | 16.5/1,000 | 10/1,000 | 6.5/1,000 | |
建設業 | 17.5/1,000 | 11/1,000 | 6.5/1,000 |
期間 | 事業の種類 | 保険料率 | 事業主負担 | 労働者負担 |
---|---|---|---|---|
令和6年4月1日~ 令和7年3月31日 |
一般の事業 | 15.5/1,000 | 9.5/1,000 | 6/1,000 |
農林水産・清酒製造事業 | 17.5/1,000 | 10.5/1,000 | 7/1,000 | |
建設業 | 18.5/1,000 | 11.5/1,000 | 7/1,000 |
労働保険事務代行
労働保険事務組合(大曲商工会議所)への業務委託をおすすめする事業主
・加入の手続きや事務処理が煩わしい
・人手不足で労働保険事務まで手が回らない
・安定所・監督署が遠くて不便
※手数料がかかります。
事務委託のメリット
1.事務負担の軽減
2.事業主や家族従事者の労災保険特別加入
3.労働保険料の3回分割納付
事務委託できる事業主の範囲
常時使用する労働者数(企業単位)
・金融業・保険業・不動産業・小売業:50人以下
・卸売業・サービス業:100人以下
・その他の事業:300人以下
労災特別加入制度
個人事業主、家族従事者、法人の代表や取締役など、通常労災保険の対象とならない方々が任意加入できる制度です。
特別加入の範囲
1.表1に定める数の労働者を常時使用する事業主(個人事業主、法人の代表)
2.労働者以外で(1)の事業主の事業に従事する人(家族従事者、法人の代表以外の役員等)
表1 中小事業主と認められる企業規模
業種 | 労働者数 |
金融・保険・不動産・小売 | 50人以下 |
卸売業・サービス業 | 100人以下 |
上記以外の業種 | 300人以下 |
加入の手続き
1.雇用する労働者について保険関係が成立していること
2.労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
特別加入申請書の提出が必要です。